【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 エメリアは体力作りをしながら、視察と称して、国中のいろんな村を巡った。
 そこで民の困りごとを聞きつつ、ヒロインを育てるのに都合のいい場所を探す。

 そんなことを繰り返していると、ある夜ギルフォードが寝室にやってきた。

 物語では初夜以降、エメリアの部屋に来ていないはずなのでびっくりする。

(まぁ、夫婦だしそういうこともあったのかしら……)

 そんなことを考えていると、ギルフォードは眉間の皺を深くした。

「お前は、最近出歩いて何をしている」

 おっとこれは視察の件で小言を言いに来たのだろう。
 エメリアはにっこり微笑んだ。

「陛下のお手は煩わせませんわ。旅費はわたくしと公爵家からのものです」

 視察に際して、国庫には一切手をつけていない。

 娘をただ政治の道具にする父の金を、少しくらい国のために使ってもらってもバチは当たらないだろう。

 それに腐っても公爵令嬢、エメリア私物の宝石はたくさんある。
 それを少しずつ売って、偵察費用と逃亡後の資金として隠していた。

 目もくらむような宝石だが、どうせ死んでもあの世に持っていけない。
 しかも、継母が勝手に己のものにするのも知っている。その前に有効活用させていただこう。

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