【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 しかし今はそれよりも大事なことがあった。

「陛下、ご報告した、西部の水害の対策に関してはいかがですか」
「……視察での陳情を受けて、早急に進めている」
「よかった……」

 心の底からホッとしてエメリアは微笑んだ。
 視察のときにたまたま大雨による被害があった村に出くわしたのだ。辺境であろうと大切な民だ。
 夫としては最悪な男だが、皇帝としては優秀なので心配することもなかった。

(それにしても、実母が死ぬ前のエピソードがほぼないのが問題なのよね)

 支度は着々と進んでいるが、どうにも不安要素は多い。

 それでもなんとかするしかない。ヒロインと自分の明るい未来のために。

「それで陛下、何か御用が……」

 そこで、ベッドに押し倒された。

「えっ」

 上からのしかかられて驚く。性急に服を――今日も防御力ゼロだ――脱がされそうになって、エメリアは必死で抵抗した。

「だめ、です!」

(嘘でしょ。一回しか抱いてないはずじゃないの)

「――お腹に、子がいますので」
「なんだと」
「しまった!」

 全部声に出た。

(うう、隠し通すつもりだったのに!)

 エメリアの告白を聞いたギルフォードは、ベッドで覆い被さりながら呆然としている。
 固まったように動かない彼に恐る恐る声をかけた。

「も、もちろん陛下のお子ですよ……?」
「そこを心配しているわけではない」
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