【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 おや、思っていた反応と違う。
 エメリアは夫の胸を押し除けながら言葉を続けた。

「こちらのことは構わなくて大丈夫です。お仕事で忙しいのはわかっていますし、……この子は一人で育てますので」

 公務に忙しくて、実母が手を上げていたことも継母が虐げていたことも知らないくらいだ。
 そもそも、後継者が男子でないこともヒロインに興味をもてなかった理由だろう。

(うう……可哀想、私がちゃんと愛情込めて育てるからね!)

 そう決意して、まだ膨らんでいないお腹を撫でる。

「…………」

 ギルフォードは、無言のままふらりと立ち上がってドアに向かった。
 ノブに手をかけたがタイミングを外して、ごんと額を打つ。

「へ、陛下……大丈夫ですか!」
「……」

 返事をすることもなく、そのまま行ってしまった。





「体調はどうだ」

 それから、ギルフォードはよくエメリアのもとに顔を見せるようになった。――それどころか、なにかと気遣ってくれるのだ。

(嬉しいような、ちょっと困るような……)

 国中を巡った視察の結果、潜伏先は無事に決めた。
 決行日も大丈夫。抜け出す警備の隙も見つけられている。

(去り難くなってしまうじゃない……)
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