【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 そして公務が終わり、馬車に戻る。
 メレディスから受け取ったフレンが、座面に座ってすぐ満面の笑みで袋を開けた。

「うわぁあ」

 選んだのは、溶かした飴をナッツと絡めて長方形に小さく切ったもの。数は十くらいだろうか。
 フレンはその中のひとつを取ってエメリアに差し出した。

「おかあさまにもあげます」
「ありがとう」
「……おとうさまにも」
「そ、そうか」

 フレンはギルフォードにも飴を差し出す。
 ぎこちなく飴を受け渡しする二人を眺めて、エメリアは聞いた。

「フレン、視察はどうだった?」
「たのしかったです、みんな、笑顔でした。……フレンが皇帝になっても、みんなにはそんな顔をしてほしいです」
「ーーぐっ」

 飴を持ったままギルフォードが胸に手を当ててうめいた。

 それにしても本当に、表情豊かになったものだ。

 しみじみしながら飴を食べ、エメリアはギルフォードにそっと言った。

「よかったですね陛下」
「……ああ」

 前に声をかけると、ギルフォードがエメリアを見て笑う。いつもの皮肉げなものではなく、優しい表情で。

「っ」

 不意打ちのそれにどきっとしてしまって、エメリアは慌てて窓の外に目を向けた。
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