【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 彼女の視線の先には、飴を使ったさまざまな種類のお菓子が並ぶ屋台がある。
 「いらっしゃい!」と元気な店主が手を叩いて、客引きをしていた。

「……お菓子、買ってもいいですか」

 あの頃もこうやってよくフレンにお菓子をねだられたものだ。
 エメリアは頷いて、そのときと同じことを告げた。

「ひとつだけよ」

 こくんとフレンも頷いて、屋台に近づいた。

「はい、いらっしゃ……皇女様!?」
「こんにちは! おかしを見てもいいですか」
「も、もちろんです!」

 フレンは、ケースに並んでいる美味しそうなお菓子を嬉しそうに吟味する。

 その様子を、ギルフォードはフレンの後ろから眺めていた。
 屋台に貼られている値段表を見て首を傾げる。

「全部買えばいいだろう」
「ダメです」

 ギルフォードはこういうとき、意外と大雑把だ。

「これにします!」

 フレンはナッツがいっぱい入った飴菓子を選んだ。
 店主からお菓子の袋を受け取ってはしゃぐフレンに笑って、エメリアは店主に金貨を渡した。

「皇妃様、さすがにおつりがありませんよ……」

 頭を掻く店主に、エメリアは微笑んだ。
 屋台に並ぶのは店主の腕前がよくわかる菓子たち。フレンにはひとつで十分だがーー。

「おつりはいりません。その代わり、よかったら今日こちらに来る子どもたちに、お菓子をあげてください」
「! は、はい」

 恐縮しきりの店主にお礼を言って、視察に戻る。
 お菓子はその間、メレディスが預かってくれた。
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