【完結】転生したら、退場予定の悪妃になりまして
 さすが愛し子。祖父に連絡を取る孫のテンションである。一応、滅多に会えない伝説的存在のはずだが。

「ちょ、ちょっと待って」

 無礼がないようにと慌てて身支度と、迎える用意を整える。

 そうして数時間後。
 応接室のソファに座ったフレンが、目を閉じて妖精王に呼びかけてくれた。

 その間、部屋の端に控えているメレディスが借りてきた猫のように身をすくめているのを見る。

 ちなみにこの短期間で、フレンとメレディスは前からそうだったように打ち解けていた。
 とはいえ悪い妖精と善い妖精――と一概には言えないが――天敵であることは間違いない。

 エメリアはそっと彼女に言った。

「席を外してもいいのよ」
「いえ、侍女として二人の傍を離れるわけには……っ」
「そ、そんなに気にしなくていいのに」
「来ました」

(早い!)

 ふわりと現れたのは、いつもフレンの周りを飛んでいる妖精よりも一回りほど大きな妖精だった。

 髭でほとんど覆われていて、顔はわからない。
 ただその髭に埋まる目がきらきらと光っているように見える。

「ほほ、皇妃様、呼びましたかな」

 その雰囲気にどこかで会ったことがあるような既視感を感じつつ、エメリアは彼の前で最大限の礼をとった。

「フレンの母親のエメリア・デュラン・ファレルと申します。いつも娘が大変、お世話になっております」
「いやいや。わしらこそ可愛い愛し子を愛でさせてもらっている。それで、ご用はなにかな」

 目の前に飛ぶ妖精王の問いかけに、埃妖精を肩に乗せたエメリアはにっこり微笑んだ。

「ご挨拶と、妖精王様に聞きたいことがあります」
「ほう、なんだろう」

 森羅万象を見通す妖精王。だが普通に問いかけても、彼は簡単には未来を教えてくれない。
 それにフレンの前でもちろん余命の話はできない。
 だからエメリアは彼にこう問いかけた。
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