策士な財閥ホテル王は政略妻との初恋を実らせる
「ですが……なにか?」

 言葉を濁して曖昧に笑う私を見て、城下さんは片眉をピクリと上げた。

 その先を聞かれているだけなのに、あまりにも容貌が端正すぎて、人並外れたオーラに気圧されてしまう。

 だってこれほどまでに目見麗しい人物を見た経験がない。

「えっと、その……」

 そのせいで伝えたいことがうまくまとまらない。

「美雨さんはこの結婚にご納得されていないのですね」

 ため息混じりに城下さんが言った。

 私がハッとすると、城下さんはやや怪訝そうに眉をひそめてこちらに一歩近づいた。

 そして首を傾げ、困惑する私の顔を覗き込む。

「婚活パーティーで結婚相手を探すくらいなら、俺にしとけばいいだろう?」

 穏やかでありながら、どこか剣のある物言い。
 これまでの丁寧な口ぶりとは反する威圧的な物言いに面食らう。

「俺になら、きみが大切にしているものを守ることができる」

 至近距離でこちらを見つめる漆黒の瞳から目を離せなかった。

 揺るがない視線に射抜かれて、息が止まるかと思った。

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