策士な財閥ホテル王は政略妻との初恋を実らせる
けれども彼女がこの政略結婚に納得していないのは、火を見るよりも明らかだった。
結婚に後ろ向きな理由は、他に好きな男がいるからだろうか……。
そう推測すると、あの婚活パーティーで男性とトラブルになっていた件が気になる。
旧城下財閥の後継者に嫁ぐとなれば、彼女は世間から注目を浴び関心を寄せると思われた。
そうなれば外野からこの結婚を責められる噂などないほうが好ましい。
入念に相手の男性を調べると、彼は後藤忠司という福本建設総務部総務課の社員であることがわかった。
スタイルがよく小奇麗で、髪型やスーツ、掛けている細いフレームの眼鏡も洒落ていて、レンズの奥の目もとても細いのが特徴的。
ほかの婚活イベントでもカップル成立しているため、彼女と恋愛関係にあったとは考えにくい。
だとしたら、彼女は恐らくなんらかの事情があり、スイートキングズホテル東京で催された婚活パーティーに参加して、後藤に偶然遭遇したのだろう。
後藤が複数の婚活イベントでカップル成立となっているのも気にかかる。
そんな折、福本建設で臨時の取締役級会議が開かれた。
業務提携のため、取締役会で決議を取るのに先立ち、城下不動産と福本建設での話し合いの場を設けたのだ。
会議後、秘書が車を回している間に俺の足は総務部のフロアに向いていた。
そこで聞き覚えのある男性の声が耳に届いた。
「俺、この子と結婚するんだ」
やや離れた場所から歩を進め、声の主と距離が近づく。後藤だ。
その隣には顔面蒼白の若い女性と、彼らと向き合い、こちらに背を向けている女性の姿。
後藤はニヤニヤと薄気味悪く笑いながら、こちらに背を向けている女性に近づいている。
「本命の彼女。玉の輿だよ? 社長令嬢だからね」
クッと堪えるように笑う後藤に対し、顔面蒼白の若い女性は目を見開いた。
俺は三人との間合いを詰めながら、後藤の言葉に耳を疑う。
なぜなら、後ろ姿でわかったからだ。こちらに背を向けている女性が福本美雨だと。
「だから、きみの発言は妄言だよ。そもそも俺の気持ちはきみになかったし、式場を予約するなんて約束もなんのことだか……」
後藤のとぼけた口振りに怒りが湧いた瞬間。
「な、なにを言ってるんですか!」
「これは一体、なんの騒ぎです?」
美雨の非難する声と、俺の声とが重なった。
「今、こちらの方と結婚すると聞こえた気がしましたが」
焦る気持ちを押し殺し、美雨の背後にようやく到着する。
後藤が瞠目する様子をスローモーションで確認できた。
「俺のフィアンセになにか?」
美雨の肩に手を置く。
結婚に後ろ向きな理由は、他に好きな男がいるからだろうか……。
そう推測すると、あの婚活パーティーで男性とトラブルになっていた件が気になる。
旧城下財閥の後継者に嫁ぐとなれば、彼女は世間から注目を浴び関心を寄せると思われた。
そうなれば外野からこの結婚を責められる噂などないほうが好ましい。
入念に相手の男性を調べると、彼は後藤忠司という福本建設総務部総務課の社員であることがわかった。
スタイルがよく小奇麗で、髪型やスーツ、掛けている細いフレームの眼鏡も洒落ていて、レンズの奥の目もとても細いのが特徴的。
ほかの婚活イベントでもカップル成立しているため、彼女と恋愛関係にあったとは考えにくい。
だとしたら、彼女は恐らくなんらかの事情があり、スイートキングズホテル東京で催された婚活パーティーに参加して、後藤に偶然遭遇したのだろう。
後藤が複数の婚活イベントでカップル成立となっているのも気にかかる。
そんな折、福本建設で臨時の取締役級会議が開かれた。
業務提携のため、取締役会で決議を取るのに先立ち、城下不動産と福本建設での話し合いの場を設けたのだ。
会議後、秘書が車を回している間に俺の足は総務部のフロアに向いていた。
そこで聞き覚えのある男性の声が耳に届いた。
「俺、この子と結婚するんだ」
やや離れた場所から歩を進め、声の主と距離が近づく。後藤だ。
その隣には顔面蒼白の若い女性と、彼らと向き合い、こちらに背を向けている女性の姿。
後藤はニヤニヤと薄気味悪く笑いながら、こちらに背を向けている女性に近づいている。
「本命の彼女。玉の輿だよ? 社長令嬢だからね」
クッと堪えるように笑う後藤に対し、顔面蒼白の若い女性は目を見開いた。
俺は三人との間合いを詰めながら、後藤の言葉に耳を疑う。
なぜなら、後ろ姿でわかったからだ。こちらに背を向けている女性が福本美雨だと。
「だから、きみの発言は妄言だよ。そもそも俺の気持ちはきみになかったし、式場を予約するなんて約束もなんのことだか……」
後藤のとぼけた口振りに怒りが湧いた瞬間。
「な、なにを言ってるんですか!」
「これは一体、なんの騒ぎです?」
美雨の非難する声と、俺の声とが重なった。
「今、こちらの方と結婚すると聞こえた気がしましたが」
焦る気持ちを押し殺し、美雨の背後にようやく到着する。
後藤が瞠目する様子をスローモーションで確認できた。
「俺のフィアンセになにか?」
美雨の肩に手を置く。