策士な財閥ホテル王は政略妻との初恋を実らせる
今からおよそ三週間前。
「お願い、美雨!」
私の前で両手を合わせて懇願しているのは、親友の高原(たかはら)由衣(ゆい)。
会うときによく待ち合わせをするカフェで、窓際の席に座り、アイスカフェオレのストローに口を付けたところだった。
「美雨にしか頼めないの! お願い、一緒に行って!」
差し迫った顔の由衣に面食らった。
「こ、婚活パーティー?」
会ってすぐに頭を下げるからなにごとかと思えば、由衣はどうしても私と一緒に婚活パーティーに参加したいという。
結婚に憧れはあるけれど出会いがなくて、最近婚活パーティーに参加した話を聞いていた。
だけど緊張してうまく話せず、私が近くにいたら安心感が湧くから初対面の男性とも交流が持てそうな気がするらしい。
「そうなの。申し込みにまだ間に合うから、来週なんだけど……」
由衣は言いづらそうに眉根を寄せた。
彼女とは大学時代からの付き合いだ。
身長百五十五センチの私よりも小柄で、やわらかい印象のショートボブに垂れ目がちな瞳、小さくかわいらしい鼻と口がまるで小動物のように愛らしく、年齢よりも若く見える。
私は母ゆずりのくっきりとした目鼻立ちで、少し派手な顔立ちだから、由衣のビジュアルは羨ましいと思っていた。
穏やかで奥手な性格で、恋愛には疎い。
大学四年間も、卒業してからのこの二年も、私と同じで恋人はいない。
それでも、結婚には憧れている理由は、ご両親が新婚さんのようにラブラブだからだそう。
由衣のかわいらしい愛されキャラもきっと、そんな温かい家庭環境の影響かなと思っていた。
親友として、ここはひと肌脱ぎたいところ。
だけど……大丈夫かな。
一週間前に父から政略結婚を考えてくれと提案された身としては、たとえ付き添いだとしても婚活パーティーに参加していいのか悩む。
父の会社と、従業員とその家族の生活を考えたら、私はその提案を断るのは難しい。
母が存命なら、どんな反応をしたかな。
きっと困ったり、悩んだりする私の話を聞き、手を差し伸べてくれていたに違いない。
大切な母を亡くしている私にとって、家族のような存在である由衣の力になりたいと強く思った。
ただの付き添いだけど、こんな状況だし参加してもいいよね……。
「うん、わかった。婚活パーティーなんて初めてだから、私も緊張して由衣の助けにならないかもだけど……」
私の言葉に、由衣は表情をパッと明るくさせる。
「ありがとう美雨! 美雨がいてくれるだけで心強いよ」
テーブルの上の私の手を取ると、由衣は自分の両手でキュッと包み込む。
「でも、こんなお願いするのは今日限りにするからね。本当に恩に着る」
「わかった。恩とか気にしなくていいからね」
由衣の手を握り返し、私はため息混じりで微笑んだ。
「お願い、美雨!」
私の前で両手を合わせて懇願しているのは、親友の高原(たかはら)由衣(ゆい)。
会うときによく待ち合わせをするカフェで、窓際の席に座り、アイスカフェオレのストローに口を付けたところだった。
「美雨にしか頼めないの! お願い、一緒に行って!」
差し迫った顔の由衣に面食らった。
「こ、婚活パーティー?」
会ってすぐに頭を下げるからなにごとかと思えば、由衣はどうしても私と一緒に婚活パーティーに参加したいという。
結婚に憧れはあるけれど出会いがなくて、最近婚活パーティーに参加した話を聞いていた。
だけど緊張してうまく話せず、私が近くにいたら安心感が湧くから初対面の男性とも交流が持てそうな気がするらしい。
「そうなの。申し込みにまだ間に合うから、来週なんだけど……」
由衣は言いづらそうに眉根を寄せた。
彼女とは大学時代からの付き合いだ。
身長百五十五センチの私よりも小柄で、やわらかい印象のショートボブに垂れ目がちな瞳、小さくかわいらしい鼻と口がまるで小動物のように愛らしく、年齢よりも若く見える。
私は母ゆずりのくっきりとした目鼻立ちで、少し派手な顔立ちだから、由衣のビジュアルは羨ましいと思っていた。
穏やかで奥手な性格で、恋愛には疎い。
大学四年間も、卒業してからのこの二年も、私と同じで恋人はいない。
それでも、結婚には憧れている理由は、ご両親が新婚さんのようにラブラブだからだそう。
由衣のかわいらしい愛されキャラもきっと、そんな温かい家庭環境の影響かなと思っていた。
親友として、ここはひと肌脱ぎたいところ。
だけど……大丈夫かな。
一週間前に父から政略結婚を考えてくれと提案された身としては、たとえ付き添いだとしても婚活パーティーに参加していいのか悩む。
父の会社と、従業員とその家族の生活を考えたら、私はその提案を断るのは難しい。
母が存命なら、どんな反応をしたかな。
きっと困ったり、悩んだりする私の話を聞き、手を差し伸べてくれていたに違いない。
大切な母を亡くしている私にとって、家族のような存在である由衣の力になりたいと強く思った。
ただの付き添いだけど、こんな状況だし参加してもいいよね……。
「うん、わかった。婚活パーティーなんて初めてだから、私も緊張して由衣の助けにならないかもだけど……」
私の言葉に、由衣は表情をパッと明るくさせる。
「ありがとう美雨! 美雨がいてくれるだけで心強いよ」
テーブルの上の私の手を取ると、由衣は自分の両手でキュッと包み込む。
「でも、こんなお願いするのは今日限りにするからね。本当に恩に着る」
「わかった。恩とか気にしなくていいからね」
由衣の手を握り返し、私はため息混じりで微笑んだ。