策士な財閥ホテル王は政略妻との初恋を実らせる
「意外だなぁ。福本さんて、結婚相手を探してたんだ!」
周囲に聞こえるくらいの大声で言われ、私は辺りをうかがいながら肩を縮こませる。
「いえ、私はその、違うんですけど……」
「え、違う? 違うってどういうこと?」
眉間にシワを寄せた後藤さんは、まるで私に反論したくて仕方がないというふうに、首を傾げながらこちらに詰め寄った。
「ここは結婚相手を探すための婚活パーティーの場だよ? 違うならいったい福本さんはなにをしに来たの?」
たしかに正論だ。
答えられないでいると、後藤さんは鷹揚な面持ちになる。
「まぁ福本さんなら、大企業の令嬢だもん。社長が決めた結婚相手がいるんだろ? 取引先の社長令息とか、政治家の息子とか」
バッチリ当たってるし……。
でもここで正直に話したら、怒りを買う恐れがあるため私は口を噤む。
「福本さん、話しやすいから仕事中はついご令嬢だってこと忘れちゃうんだよね」
大学三年のとき母が亡くなり、父の会社で少しでも役に立てるなら働きたいと願い、総務部に配属された。
社員たちは私の素性を知っていて、一緒に働くのは気まずい思いをさせているかもしれない。
だけど、微力でも会社を陰で支えられていると考えれば誇らしかったし、真面目に勤務している。
後藤さんは去年、支店から本社の総務部に異動してきた。
年齢はたしか二十八歳。
優秀な学歴で、語学が得意。上司から仕事ぶりも評価されている。
「俺、いつかきみとゆっくり話してみたいと思ってたんだ」
距離が近い……。
こちらを見つめながら間合いを詰められ、反射的に後ずさりする。
もとから立っていた場所が壁際なため、もう逃げ場がない。
差し出されたスタンプカードは、あと一歩で私の胸のあたりに触れそうなほど。
「結婚相手を探してるんだったら、俺も立候補していい?」
「……は?」
突拍子もないことを言われてあ然とする。
ここは正直に、親友に頼まれて付き添いをしているだけだと話したほうが良さそうだ。
周囲に聞こえるくらいの大声で言われ、私は辺りをうかがいながら肩を縮こませる。
「いえ、私はその、違うんですけど……」
「え、違う? 違うってどういうこと?」
眉間にシワを寄せた後藤さんは、まるで私に反論したくて仕方がないというふうに、首を傾げながらこちらに詰め寄った。
「ここは結婚相手を探すための婚活パーティーの場だよ? 違うならいったい福本さんはなにをしに来たの?」
たしかに正論だ。
答えられないでいると、後藤さんは鷹揚な面持ちになる。
「まぁ福本さんなら、大企業の令嬢だもん。社長が決めた結婚相手がいるんだろ? 取引先の社長令息とか、政治家の息子とか」
バッチリ当たってるし……。
でもここで正直に話したら、怒りを買う恐れがあるため私は口を噤む。
「福本さん、話しやすいから仕事中はついご令嬢だってこと忘れちゃうんだよね」
大学三年のとき母が亡くなり、父の会社で少しでも役に立てるなら働きたいと願い、総務部に配属された。
社員たちは私の素性を知っていて、一緒に働くのは気まずい思いをさせているかもしれない。
だけど、微力でも会社を陰で支えられていると考えれば誇らしかったし、真面目に勤務している。
後藤さんは去年、支店から本社の総務部に異動してきた。
年齢はたしか二十八歳。
優秀な学歴で、語学が得意。上司から仕事ぶりも評価されている。
「俺、いつかきみとゆっくり話してみたいと思ってたんだ」
距離が近い……。
こちらを見つめながら間合いを詰められ、反射的に後ずさりする。
もとから立っていた場所が壁際なため、もう逃げ場がない。
差し出されたスタンプカードは、あと一歩で私の胸のあたりに触れそうなほど。
「結婚相手を探してるんだったら、俺も立候補していい?」
「……は?」
突拍子もないことを言われてあ然とする。
ここは正直に、親友に頼まれて付き添いをしているだけだと話したほうが良さそうだ。