策士な財閥ホテル王は政略妻との初恋を実らせる
 女性のブランドや好みには疎いが、艶のある生地感やシルエットは気高く、背後にあしらわれたリボンや裾のレースがかわいらしい。

 彼女の美しさをより引き立てる、魅力的なデザインだと思う。

「ああ、すごくよく似合いそうだ。どう? 美雨」

 「……そうですね」

 つぶやいた美雨の顔色がまた暗く曇ってゆく。

 眉間にシワを寄せ、彼女はそっとお腹に手をあてた。

 その仕草にピンときた。

 ひょっとして、美雨は妊娠しているのではないだろうか……。

「どこか具合が悪い?」

 忙しなくなる鼓動をなんとか落ち着かせ、平静を装って尋ねる。

 するとハッとした美雨は、即座に腹部から手を離した。

「大丈夫です。少しお腹が空いて……いや、痛くて」

 取り繕いの笑顔で誤魔化され、愕然とした。

 話してくれないのか?

 今すぐに別室に連れ出し、きちんと美雨と話したい。

 不安があれば解消したいし、なによりも心から愛していると伝えたい。

 しかし、そう決意したとき。

「城下社長、秘書の方がお見えです。急な要件とのことで」

 秘書から呼び出され、不本意ながらすぐにプライベートジェットでの出国を余儀なくされた。

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