トップアイドルは白衣の天使に恋をする

第3章 急接近?

今日でシャドーイング5日目、ついに最終日。

午前の業務を終え、お昼ご飯を買いにコンビニへ向かう途中だった。

「おね〜さん」

階段を降りていると、20代前半くらいの男に突然声をかけられた。

金髪にピアスがいくつも開いている。

正直、あまり関わりたくないタイプだ。

「どうしました?」

警戒しながらも、仕事として声を返す。

「検査室行きたいんだけどさぁ、場所わかんねぇんだよね。
案内してくんない?」

上から下まで舐めるような視線に、ゾクッと背筋が震えた。

どうしよう……断りたい。

でも患者さんかもしれない。

無下にするわけにもいかない。

「ねぇ、はーやーく。
俺、足怪我してるからさぁ。支えてくれる?」

そう言って、いきなり肩に手を回される。

「ちょっ……」

思わず離れようとすると——

「だーめ」

ぐっと腕を掴まれた。

力が強い。

「医療従事者が患者ほっとくとか、ありえなくね?
そんなことされたらさ、苦情入れちゃうかもー。
ねぇ、一ノ瀬さん?」

名札を見て、ニヤリと笑う。

怖い……。

「……わかりました」

小さく頷くしかなかった。

「やった♪」

嬉しそうに笑う顔が、逆に気持ち悪い。

早く終わらせよう。

それだけを考えて歩き出す。

「おねぇさんってさ、細いのに結構あるよね?」

肩に回された手が、ゆっくりと下に滑っていく。

ゾクッ——

全身に鳥肌が立つ。

「やめてください」

震えそうになる声を必死に抑えて言った。

「あはは、怒っちゃった?
でもさ、ぶっちゃけFくらいあるでしょ?」

視線が胸元に向けられる。

吐き気が込み上げた。

「このまま真っ直ぐ行けば検査室です。
ここからはお一人でお願いします」

そう言って腕を振り解こうとした瞬間——

ガッ

強く肩を掴まれる。

……こわい。

「なんで逃げようとすんの?
最後まで案内するのがお仕事でしょ?」

顔が近い。

息がかかる距離。

「それともさ——」

耳元で囁かれる。

「病室戻って、イイコトしてくれる?」

ぞわっと背筋が凍る。

強引に手を引かれ、非常口の方へ連れて行かれる。

痛い……っ

「やめて……っ」

声がうまく出ない。

怖い。

助けて——

そう思った、その瞬間。

「なにしてんの?」

低く、冷たい声が響いた。

ハッと顔を上げる。

涙で視界が滲んでいる。

それでも、その人の存在だけははっきり分かった。

「あ〜?何お兄さん。
今いいとこなんだけど。失せてくんね?」

男は苛立ったように吐き捨てる。

「その人、嫌がってますよ。
手、離してください」

静かだけど、圧のある声。

「うっせぇな。
顔傷つけたくなかったらさっさと消えろよ」

男の苛立ちが増していく。

「消えるのは、お前だろ」

その一言で、空気が一変した。

「……んだとコラ」

男は私の手を離し、その人に詰め寄る。

危ない——

声を出したいのに、体が動かない。

「覚悟しろよ」

男が掴みかかろうとした、その瞬間——

「いでっ……!いてててて!!」

響いたのは悲鳴だった。

恐る恐る目を開けると、

さっきの男が床に押さえつけられていた。

「このまま警察行くか?」

淡々とした声。

「わ、わかった!離せ!
もう何もしねぇ!」

必死に抵抗する男。

「ほんとだな?」

少しだけ力を緩める。

「次やったら、本当に突き出すからな」

そう言って手を離すと、男は舌打ちをして逃げるように去っていった。

——静寂。

さっきまでの恐怖が一気に押し寄せてくる。

足の力が抜けそうになる
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