アンコールはリビングで
5. 想定外のフル充電

身支度を終え、スマートウォッチを確認すると、時刻は4時50分。
島崎さんが来るまであと10分。
我ながら完璧な時間配分に、口元が緩む。

(……あと10分あるな)

少し迷った末、俺の足は吸い寄せられるように寝室へと向かっていた。

ドアを細く開け、忍び込む。
凪はまだ、同じ体勢で深く眠っていた。

俺はベッドの脇に片膝をつき、もう片方の立てた膝に肘を乗せ、手のひらで自分の頬を支えた。
低い位置から、彼女の寝顔をじーっと覗き込む。

(……よく寝てんなぁ)

無防備な顔。少し開いた口。
俺は指先で、彼女の前髪をサラサラと払った。

こんな至近距離で眺めていると知ったら、起きた彼女に「趣味が悪い」といじり倒されるだろう。
でも、この静かな時間が、俺にとって何よりの精神安定剤(チャージ)なのだ。
愛おしさが溢れ、最後に優しく頭を撫て立ち去ろうとした、その時だった。

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