アンコールはリビングで
「……カット! OK!!」

監督の声が響いた瞬間、スタジオの空気が一気に緩んだ。

「はい、お疲れ様でしたー!!」

スタッフたちが慌ててバスタオルを持って駆け寄ってくる。

「早瀬さん、大丈夫ですか!? 冷たくないですか?」

「すぐ拭いてください! 風邪引いちゃいます!」

「あ、ありがとうございます。全然平気ですよ」

湊は、水も滴るいい男状態のまま爽やかに笑ってタオルを受け取った。
その瞬間、女性スタッフたちが「ひゃっ……」と音にならない悲鳴を上げるのを、彼は聞き逃さなかった。

「新谷さんも、お疲れ様でした。大丈夫でした?」

「はい! 早瀬さんが守ってくれたので! ……今のシーン、すっごくかっこよかったです!」

「ははっ、それは佐伯怜司の株が上がったかな」

共演者へのフォローも忘れない。
誰にでも優しく、気遣いを忘れない。

それが、座長である「早瀬湊」の流儀だ。
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