アンコールはリビングで
3. マネージャー・島崎との会話
午後21時過ぎ。
全ての撮影を終えた湊は、送迎車の後部座席に深く沈み込んでいた。
「……ふぅ。お疲れ様でした」
「早瀬くん、お疲れ様。今日は一日中撮影で大変だったね」
ハンドルを握るのは、デビュー当時から湊を支えるマネージャー、島崎優太(しまざき ゆうた)だ。
33歳で湊より年上の彼は、穏やかで頼れる兄のような存在。
凪の前ほどではないが、島崎の前では湊も少しだけ肩の力を抜くことができる。
「最近、新曲もドラマも好調ですごいよ。でも体調とか大丈夫? スケジュール結構詰まってるよね……」
赤信号で停車した島崎が、ルームミラー越しに気遣わしげな視線を投げてくる。
「あー、平気ですよ。
家に帰ると、ものすごい健康オタクがいるんでね。最近はすこぶる調子良いっす」
湊は苦笑しながら答えた。
「ははっ、凪さんか。彼女も元気?
早瀬くんの健康管理までしてくれて、本当助かるなぁ。俺らが言っても聞かないこと、凪さんなら一発だもんなぁ」
「いやー、感謝はしてるんすけどね……。
もうどんどんオタクに磨きがかかってて。最近じゃ『鬼コーチ』と化してて大変なんすよ。
昨日は『白米食べたい』って言ったら『ビタミンB1摂れ』って生姜焼き出てきてさ……美味かったけど」
「え〜、のろけ?(笑)」
「違いますって」
島崎との他愛のない会話に、仕事の緊張がほぐれていく。
車窓の外を流れる東京の夜景。
21時過ぎ。まだスーパーも開いている時間だが、今日はもう真っ直ぐ帰りたい。
「……はい、着いたよ」
車がマンションの前に停まる。
「今日もお疲れ様。
明日も朝からドラマの撮影だね。シーンの関係でちょっと遠くまで行くから、朝早いけどよろしくね」
「あー、高尾山っすよね」
「そうそう。怜司が舞花ちゃんとデートするシーン。山登りだから体力勝負だね」
「了解っす。バッチリ起きて行くんで、明日もよろしくお願いします」
湊は軽く手を挙げ、車を降りた。
夜風は冷たいが、帰る場所があると思うだけで足取りは軽い。
午後21時過ぎ。
全ての撮影を終えた湊は、送迎車の後部座席に深く沈み込んでいた。
「……ふぅ。お疲れ様でした」
「早瀬くん、お疲れ様。今日は一日中撮影で大変だったね」
ハンドルを握るのは、デビュー当時から湊を支えるマネージャー、島崎優太(しまざき ゆうた)だ。
33歳で湊より年上の彼は、穏やかで頼れる兄のような存在。
凪の前ほどではないが、島崎の前では湊も少しだけ肩の力を抜くことができる。
「最近、新曲もドラマも好調ですごいよ。でも体調とか大丈夫? スケジュール結構詰まってるよね……」
赤信号で停車した島崎が、ルームミラー越しに気遣わしげな視線を投げてくる。
「あー、平気ですよ。
家に帰ると、ものすごい健康オタクがいるんでね。最近はすこぶる調子良いっす」
湊は苦笑しながら答えた。
「ははっ、凪さんか。彼女も元気?
早瀬くんの健康管理までしてくれて、本当助かるなぁ。俺らが言っても聞かないこと、凪さんなら一発だもんなぁ」
「いやー、感謝はしてるんすけどね……。
もうどんどんオタクに磨きがかかってて。最近じゃ『鬼コーチ』と化してて大変なんすよ。
昨日は『白米食べたい』って言ったら『ビタミンB1摂れ』って生姜焼き出てきてさ……美味かったけど」
「え〜、のろけ?(笑)」
「違いますって」
島崎との他愛のない会話に、仕事の緊張がほぐれていく。
車窓の外を流れる東京の夜景。
21時過ぎ。まだスーパーも開いている時間だが、今日はもう真っ直ぐ帰りたい。
「……はい、着いたよ」
車がマンションの前に停まる。
「今日もお疲れ様。
明日も朝からドラマの撮影だね。シーンの関係でちょっと遠くまで行くから、朝早いけどよろしくね」
「あー、高尾山っすよね」
「そうそう。怜司が舞花ちゃんとデートするシーン。山登りだから体力勝負だね」
「了解っす。バッチリ起きて行くんで、明日もよろしくお願いします」
湊は軽く手を挙げ、車を降りた。
夜風は冷たいが、帰る場所があると思うだけで足取りは軽い。