アンコールはリビングで
4. シンデレラ・タイム
寝室で紙袋を開けると、中から出てきたのは、繊細なレースがあしらわれたベージュのニットワンピースだった。
私が普段着ているオフィスカジュアルよりもずっと上質で、でも気負いすぎない、絶妙なデザイン。
(……これ、湊が選んだの?)
彼のセンスの良さに驚きつつ、袖を通す。
サイズは驚くほどぴったりだった。
急いでメイクをし、髪を整える。鏡に映る自分は、さっきまでの「疲れたOL」とは別人のようだった。
「……どうかな……?」
リビングに戻り、彼の前に立つ。
湊はスマホをいじっていたが、気配を感じて顔を上げた。
その目が、ゆっくりと見開かれる。
「……おぉ」
彼はスマホを置き、まじまじと私を見つめた。
頭の先からつま先まで、値踏みするように、でも熱っぽい視線で。
「……やっぱ思ってた通り。めっちゃ似合うわ」
「そ、そう?」
「おう。すげえ可愛い」
真っ直ぐな瞳。一点の曇りもない称賛。
普段なら「ま、悪くねぇな」とか憎まれ口を叩くくせに、今日の彼はどうしたのだろう。
(……なんか湊があまりに素直で調子狂う……)
顔が熱くなるのを感じながら、私は視線を泳がせた。
そんな私の様子を見て、湊がニヤリと笑う。
(……珍しく凪が照れてる。可愛いな)
彼が心の中でそう思っていることなど知る由もなく、私はニットの袖をぎゅっと握りしめた。
「準備もできたし、行くぞ」
湊が立ち上がり、私に手を差し出した。
大きくて、綺麗な手。
私がその手に自分の手を重ねると、彼は力強く握り返してきた。
「ちょ、ちょっと! これからどこ行くの?!」
「行けば分かる」
彼は悪戯っぽくウインクすると、エスコートするようにドアを開けた。
「……楽しみにしてろよ、凪」
その自信満々な横顔を見上げながら、私は高鳴る鼓動を抑えられなかった。
厄年も、仕事の疲れも、今はどうでもいい。
これから始まる彼との特別な一日に、私は期待で胸を膨らませながら、休日の光の中へと足を踏み出した。
寝室で紙袋を開けると、中から出てきたのは、繊細なレースがあしらわれたベージュのニットワンピースだった。
私が普段着ているオフィスカジュアルよりもずっと上質で、でも気負いすぎない、絶妙なデザイン。
(……これ、湊が選んだの?)
彼のセンスの良さに驚きつつ、袖を通す。
サイズは驚くほどぴったりだった。
急いでメイクをし、髪を整える。鏡に映る自分は、さっきまでの「疲れたOL」とは別人のようだった。
「……どうかな……?」
リビングに戻り、彼の前に立つ。
湊はスマホをいじっていたが、気配を感じて顔を上げた。
その目が、ゆっくりと見開かれる。
「……おぉ」
彼はスマホを置き、まじまじと私を見つめた。
頭の先からつま先まで、値踏みするように、でも熱っぽい視線で。
「……やっぱ思ってた通り。めっちゃ似合うわ」
「そ、そう?」
「おう。すげえ可愛い」
真っ直ぐな瞳。一点の曇りもない称賛。
普段なら「ま、悪くねぇな」とか憎まれ口を叩くくせに、今日の彼はどうしたのだろう。
(……なんか湊があまりに素直で調子狂う……)
顔が熱くなるのを感じながら、私は視線を泳がせた。
そんな私の様子を見て、湊がニヤリと笑う。
(……珍しく凪が照れてる。可愛いな)
彼が心の中でそう思っていることなど知る由もなく、私はニットの袖をぎゅっと握りしめた。
「準備もできたし、行くぞ」
湊が立ち上がり、私に手を差し出した。
大きくて、綺麗な手。
私がその手に自分の手を重ねると、彼は力強く握り返してきた。
「ちょ、ちょっと! これからどこ行くの?!」
「行けば分かる」
彼は悪戯っぽくウインクすると、エスコートするようにドアを開けた。
「……楽しみにしてろよ、凪」
その自信満々な横顔を見上げながら、私は高鳴る鼓動を抑えられなかった。
厄年も、仕事の疲れも、今はどうでもいい。
これから始まる彼との特別な一日に、私は期待で胸を膨らませながら、休日の光の中へと足を踏み出した。