アンコールはリビングで
「……なーにニヤニヤしてんの?」
「うぉっ!?」
目の前に迫った私の顔に、彼がのけ反る。
「な、なんだよ急に! 近いって!」
「だって、なんか楽しそうなんだもん。いいことあった?」
「……別に。飯が美味かっただけだよ」
「ふーん……嘘だぁ」
私は彼の目を見つめたまま、これ以上追及する代わりに、ちゅっ、と音を立てて彼の唇を塞いだ。
「……っ!?」
不意打ちのキス。
湊が目を丸くして固まる。
普段は彼からしてくることが多いけれど、たまには私から仕掛けるのも悪くない。
「……ふふ、ごちそうさまでした」
私が悪戯っぽく笑い、体を離そうとした――その瞬間。
ガシッ、と強い力で腕を掴まれた。
「……あ」
「……食い逃げは許さねぇぞ」
低く、甘い声。
逃げる間もなく、今度は彼の方から引き寄せられ、唇を塞がれた。
さっきの軽いキスとは違う、深く、熱い口付け。
舌先が絡み合い、ハーブティーの香りが鼻腔をくすぐる。
「……んっ……みなと……!」
息継ぎの合間に名前を呼ぶと、彼は満足そうに目を細め、私の下唇を甘く噛んだ。
「ん。ごちそうさま。デザート、美味かったわ」
「……っ、バカ……」
私は真っ赤になって、彼の胸に顔を埋めた。
心臓の音がうるさい。
彼はくくっと楽しそうに喉を鳴らし、私の頭をポンポンと撫でながら、不意に拗ねたように呟いた。
「……ていうかお前なぁ……いきなり心臓に悪いことすんなよ……」
「……はぁ? どの口が言うのよ……」
さっきまであんなに濃厚なキスをしておいて、被害者ぶるのはズルい。
私は熱い頬を冷ますように、精一杯の強がりで言い返した。
「あら、ドラマとかではラブシーンもやるんでしょ? これくらいで動揺してどうすんの」
私が彼を見上げて挑発すると、彼は一瞬意表を突かれたように目を丸くしたが、ゆっくりと私の耳元に唇を寄せ、とどめを刺すように囁いた。
「……仕事のキスと、凪とのキスが同じなわけねぇだろ」
その一言で、私の完敗が決まった。
秘密の理由は分からないけれど、彼が幸せならそれでいい。
生姜焼きの香りと、甘すぎるデザートの余韻が残るリビングで、私たちの月曜日は穏やかに更けていった。
「うぉっ!?」
目の前に迫った私の顔に、彼がのけ反る。
「な、なんだよ急に! 近いって!」
「だって、なんか楽しそうなんだもん。いいことあった?」
「……別に。飯が美味かっただけだよ」
「ふーん……嘘だぁ」
私は彼の目を見つめたまま、これ以上追及する代わりに、ちゅっ、と音を立てて彼の唇を塞いだ。
「……っ!?」
不意打ちのキス。
湊が目を丸くして固まる。
普段は彼からしてくることが多いけれど、たまには私から仕掛けるのも悪くない。
「……ふふ、ごちそうさまでした」
私が悪戯っぽく笑い、体を離そうとした――その瞬間。
ガシッ、と強い力で腕を掴まれた。
「……あ」
「……食い逃げは許さねぇぞ」
低く、甘い声。
逃げる間もなく、今度は彼の方から引き寄せられ、唇を塞がれた。
さっきの軽いキスとは違う、深く、熱い口付け。
舌先が絡み合い、ハーブティーの香りが鼻腔をくすぐる。
「……んっ……みなと……!」
息継ぎの合間に名前を呼ぶと、彼は満足そうに目を細め、私の下唇を甘く噛んだ。
「ん。ごちそうさま。デザート、美味かったわ」
「……っ、バカ……」
私は真っ赤になって、彼の胸に顔を埋めた。
心臓の音がうるさい。
彼はくくっと楽しそうに喉を鳴らし、私の頭をポンポンと撫でながら、不意に拗ねたように呟いた。
「……ていうかお前なぁ……いきなり心臓に悪いことすんなよ……」
「……はぁ? どの口が言うのよ……」
さっきまであんなに濃厚なキスをしておいて、被害者ぶるのはズルい。
私は熱い頬を冷ますように、精一杯の強がりで言い返した。
「あら、ドラマとかではラブシーンもやるんでしょ? これくらいで動揺してどうすんの」
私が彼を見上げて挑発すると、彼は一瞬意表を突かれたように目を丸くしたが、ゆっくりと私の耳元に唇を寄せ、とどめを刺すように囁いた。
「……仕事のキスと、凪とのキスが同じなわけねぇだろ」
その一言で、私の完敗が決まった。
秘密の理由は分からないけれど、彼が幸せならそれでいい。
生姜焼きの香りと、甘すぎるデザートの余韻が残るリビングで、私たちの月曜日は穏やかに更けていった。