アンコールはリビングで
10 星の瞬きと、愛の魔除け
1. 夜景の前の神様
海辺でのブランチを終え、再び車を走らせること数時間。
車窓を流れる景色が茜色から群青色へと変わり、やがて煌びやかな東京の夜景へと姿を変えた。
到着したのは、都心にある高層ホテルの地下駐車場だ。
「……着いたぞ」
湊が車を停め、助手席のドアを開けて手を差し出してくれた。
「夜景が綺麗な個室、予約しといたから。行こうぜ」
その手を取り、エレベーターで最上階へ。
案内されたのは、東京の街を一望できるラグジュアリーなホテルのレストランだった。
店に入るまでは伊達メガネをかけていた彼だが、個室に入った途端、その変装を解いた。
「……ふぅ」
帽子もメガネもマスクもない、素顔の早瀬湊。
彼が窓際に立ち、眼下に広がる光の海を見下ろしている。
ただそれだけで、映画のワンシーンのように絵になっていた。
上機嫌なのか、微かに鼻歌まで聞こえてくる。
(……まぶしっ。夜なのに直視できない……!)
音楽の神様に愛された男が、夜景を背負って立っている。その神々しさに、私は思わず目を細めた。
すると、視線に気づいた彼が振り返った。
「ん? どうした? 疲れたか?」
「いや、違うの。夜景を背にする湊が神々しくってね。見惚れてたわけ」
私が正直に白状すると、彼は「っは、なんだそれ」と呆れつつも、嬉しそうに口角を上げた。
「んだよ。心配して損したわ。……ここの夜景、すげぇよな。前から凪と観たいって思ってたんだよ」
照れることもなく、真っ直ぐな瞳でそう言われる。
その純粋な好意に、私の胸がキュッとなる。
(……スターの湊も、毛玉スウェットの湊も、中身は一緒だよね)
何、今更差を感じてたんだか。
この完璧な男性の、寝癖がついた素顔を知っているのは、世界で私だけなのだ。
私はその優越感を噛み締め、このひと時を最大限楽しむことに決めた。
海辺でのブランチを終え、再び車を走らせること数時間。
車窓を流れる景色が茜色から群青色へと変わり、やがて煌びやかな東京の夜景へと姿を変えた。
到着したのは、都心にある高層ホテルの地下駐車場だ。
「……着いたぞ」
湊が車を停め、助手席のドアを開けて手を差し出してくれた。
「夜景が綺麗な個室、予約しといたから。行こうぜ」
その手を取り、エレベーターで最上階へ。
案内されたのは、東京の街を一望できるラグジュアリーなホテルのレストランだった。
店に入るまでは伊達メガネをかけていた彼だが、個室に入った途端、その変装を解いた。
「……ふぅ」
帽子もメガネもマスクもない、素顔の早瀬湊。
彼が窓際に立ち、眼下に広がる光の海を見下ろしている。
ただそれだけで、映画のワンシーンのように絵になっていた。
上機嫌なのか、微かに鼻歌まで聞こえてくる。
(……まぶしっ。夜なのに直視できない……!)
音楽の神様に愛された男が、夜景を背負って立っている。その神々しさに、私は思わず目を細めた。
すると、視線に気づいた彼が振り返った。
「ん? どうした? 疲れたか?」
「いや、違うの。夜景を背にする湊が神々しくってね。見惚れてたわけ」
私が正直に白状すると、彼は「っは、なんだそれ」と呆れつつも、嬉しそうに口角を上げた。
「んだよ。心配して損したわ。……ここの夜景、すげぇよな。前から凪と観たいって思ってたんだよ」
照れることもなく、真っ直ぐな瞳でそう言われる。
その純粋な好意に、私の胸がキュッとなる。
(……スターの湊も、毛玉スウェットの湊も、中身は一緒だよね)
何、今更差を感じてたんだか。
この完璧な男性の、寝癖がついた素顔を知っているのは、世界で私だけなのだ。
私はその優越感を噛み締め、このひと時を最大限楽しむことに決めた。