アンコールはリビングで
「…………あっ」

そこに収まっていたのは、指輪ではなかった。
けれど、それ以上に私の目を奪うものだった。

プラチナのチェーンの先で、強く、尊く輝くネックレス。

光そのものを結晶化したような、四方向に鋭く伸びる「煌めき(クロススター)」の形。
中心には一粒のダイヤモンドが埋め込まれ、その周りを小さなメレダイヤが繊細に囲んでいる。

(……かわいい……っ!)

婚約指輪ではなかったことに、ほんの少しの安堵と、1ミリくらいのショックを感じつつも、それ以上にデザインの美しさに感動が押し寄せた。

子供っぽくない、凛とした輝き。まさに私好みのデザインだ。

「……うわ……きらめいて見えて、すごい綺麗……」

私はネックレスを箱から取り出し、目の高さまで掲げた。

照明の光を浴びて、ダイヤが七色の光を放つ。
その向こうに、少し緊張した面持ちの湊が見える。

「……喜んでくれてよかったわ。お前にこういうもん贈るのとか久しぶりで……すげぇ悩んだんだぜ」

彼が少し照れくさそうに鼻をかいた。

大スターの彼が(きっと変装して)、ジュエリーショップのショーケースの前で「どれだ……?」と眉間に皺を寄せている姿を想像すると、愛おしさで胸がいっぱいになる。

「……ほら、貸せよ。着けるから」

彼が席を立ち、私の背後に回った。
私は髪を両手で持ち上げ、首筋を露わにする。

彼の手が首に触れる。熱い指先。
カチャリ、と留め具がはまる音がして、胸元に冷やりとしたプラチナの感触が降りた。

「……っし。できた。こっち向けよ」

私が振り返ると、彼は満足そうに私の胸元と、顔を交互に見た。

「……ん。似合ってるわ。可愛い」

「あ、ありがと……っ」

屈託のない笑顔でストレートに褒められ、私は顔が沸騰しそうになりながら俯いた。

すると、彼の大きな手が私の頭を包み込み、そのまま優しく胸に引き寄せられた。

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