アンコールはリビングで
「……っ、おい、どうした!お守りとか……重かったか!? 引いたか!?」

「違うの! 逆!」

私が涙をこぼすと、湊は気持ちが重すぎて引かれたんじゃないかと焦りだした。
私は首を横に振り、ポロポロと涙を流しながら訴えた。

「もう、すごい嬉しくて……っ。普段、厄年とか何言ってんだよとか、もち麦やだとか文句ばっかり言ってるのに……私のこと、めちゃめちゃ考えてくれてるじゃんって思ったら……なんか泣けてきたの……」

私の涙ながらの訴えに、彼は一瞬きょとんとして、それからふわりと優しく笑った。
親指で私の頬を伝う涙を拭う。

「……バーカ」

彼は私の額にコツンとおでこを合わせ、一点の曇りもない笑顔で言った。

「当たり前だろ。俺にとって、世界で一番大事なのはお前なんだから。自分のことより、お前が元気でいてくれることの方がずっと重要なんだよ」

その言葉は、どんな甘い愛の言葉よりも深く、私の魂を震わせた。

100万回の「好き」よりも重い、彼の本音。

「……湊、大好き」

「ん。知ってる」

私は背伸びをして、彼の唇にチュッ、と軽いキスを落とした。

その瞬間、彼の腕に力がこもる。
彼は私を壊れ物のように、でも強く、強く抱きしめ返した。

夜景の煌めきよりも、胸元のダイヤよりも、今はこの腕の中の温もりだけが、私にとっての真実の光だった。

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