アンコールはリビングで
(……えーっと、今が15時過ぎだろ)

俺は頭の中で素早くタイムスケジュールを計算した。

凪の定時は17時半。家に着くのは大体18時半頃だ。
ここから家までは車で30分。

俺が17時に家に帰り着けば、凪が帰ってくるまでの1時間半で、風呂掃除と洗濯物の片付け、それに夕飯の準備の一品くらいは余裕でこなせる。

(……となると、デッドラインは16時半か)

買い物に使える時間は約1時間半。

男の買い物にしちゃ十分すぎる時間だが、一生モンのプレゼントを選ぶには短すぎる気もする。

「……あっ」

思わず声が漏れた。
焦る俺の脳裏に、ふと一つのブランドロゴが浮かび上がった。

数年前、俺がまだデビューして間もない頃。
リリースした楽曲が大ヒットし、その歌詞の世界観が合うという理由で、新人ながらイメージモデルに起用されたジュエリーブランドだ。

(……他にあてもねぇし。それに、あのブランドのジュエリー、俺も撮影でいくつか着けたり、見せてもらったりしたけど、シンプルで凪の好みっぽいんだよな……)

よし、あそこにしよう。
俺は帽子を目深に被り直し、記憶にある路面店の方角へと足を向けた。

< 51 / 80 >

この作品をシェア

pagetop