アンコールはリビングで
5. 完璧なバレンタインのために

店を出た俺は、その足で近くのブティックへと向かった。

ネックレスが決まった今、俺の計画はさらに膨らんでいた。
せっかくのデートだ。凪にはとびきり可愛い格好をしてほしい。

「いらっしゃいませ」

入ったのは、凪が好きそうなシンプルで上質な服を扱うブランド。

俺はレディースのラックを物色し始めた。

(……お、これとか良さそう)

手に取ったのは、繊細なレースがあしらわれたベージュのニットワンピース。
上品で、でも気負いすぎないデザイン。

これを着た凪が、助手席に座っている姿を想像する。

(……絶対似合うわ。確定)

問題はサイズだ。

俺はハンガーにかかったワンピースをまじまじと見つめた。
Sか、Mか。

「あの、よろしければサイズ感などご相談に乗りますが……」

「あ、はい。……彼女へのプレゼントなんですけど」

店員に声をかけられ、俺は少し考え込んだ。

凪の身長は155センチ。俺とは30センチの身長差がある。
俺は記憶の中の感覚を総動員した。

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