アンコールはリビングで
3. マスク越しの告白

ガタン、ゴトン。

到着した電車に乗り込み、私たちはドア横のわずかなスペースに滑り込んだ。
湊にとっては、つい先ほど乗って来たばかりの路線だ。

帰宅ラッシュの車内は、朝ほどの殺気はないものの、やはり混雑していて身動きが取れない。

不規則なリズムで揺れる車内。

「……朝は、もっとすごいんだろ?」

隣に立つ彼が、マスク越しに小声で尋ねてきた。

その琥珀色の瞳は、周囲のサラリーマンや学生たちを油断なく観察し、私を守るように立ち位置を調整している。

「うん。この三倍は人がいるかも。足が浮いちゃうくらい」

「そうか……。俺が働いてた時もそんな感じだったわ……キツイよな」

「ふふ、もう十数年選手だからね。学生の頃から電車通学だし、もう『無』の境地だよ」

私が苦笑交じりに答えると、彼は吊革を握る手に力を込め、しばらく黙り込んだ。
何かを言いたそうに、でも躊躇うように視線を泳がせている。

そして、意を決したように、さらに声を潜めて聞いてきた。

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