獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

019 無駄

 私が居るから何も悪くないヴィルフリートまで、巻き込んでしまう。彼をこのまま、お尋ね者にするわけにはいかない。

 ……どうしてだろう。何をしても上手くいかない。幸せにはなれない。私はそういう運命なのかもしれない。

 だって、ブライス・ルブランは悪役令嬢……ヒロインを虐めた罪で断罪されるのが、定められた役割なのに。

 それなのに、救われたいだなんて、思った私がおかしかったのかもしれない。

 私はヴィルフリートを黙ったままで見つめた。彼は言葉を掛けたのに、何も言わない私を不思議そうに見て居る。

 優しい人だ。私のせいでこんなことになったのに、責めもしないし、むしろ気持ちがわかるとまで言ってくれた。

 凜々しくも整った顔立ちに鍛えられた肉体を持ち、私に関わらなければ、何の問題もなく生きて行ける人だ。

 命を救ってくれたヴィルフリートにお礼を言いに行こうと心に決めたあの時、彼をこれから巻き込むつもりなんて本当になかった。

 だって、何をしても消えない黒い霧のようなフロレンティーナの悪意から、私はあの時逃げられたと思っていたのに。

「ヴィルフリート……私、貴方を不幸にしたくない」

「は?」

 私の言葉を聞いてヴィルフリートは、呆気に取られた表情になっていた。

 彼から見ればいきなり何言い出したんだと思ったのかもしれないけれど、私はかなり本気で思っていた。

 このまま、ヴィルフリートに頼りっぱなしで良いの……? 私は彼に、何も返すことは出来ないのに。

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