転生したので好きなことだけしていたら囲われました
第二章

終わりではじまりの一人と一匹、誕生日

 前世の私は二十五歳だった。
 仕事に追われて、家に帰って、眠って、また仕事へ行く。
 「今日も何も起こらなかったな」と思いながら、日々を積み重ねていた。

 誕生日ですら例外じゃない。
 帰り道にコンビニで小さなケーキを買って、ひとりで食べる。
 誰かと笑い合う予定なんて、最初からなかった。

 ――ひとつだけ、慰めがあった。

 夜道の路地裏で出会った、白い子猫。
 住んでいる部屋はペット不可で連れて帰れなかったけれど、時々餌をあげて、勝手に心を寄せていた。

「今日、誕生日なんだ」

 子猫を見下ろして、そんな独り言をこぼした。
 子猫は小さく鳴いて、足元に擦り寄ってくる。

 そのときだった。

 雲に覆われていた空が、突然、目が焼けそうなほど白く光った。

「……え?」

 反射的に見上げた瞬間、視界が白に塗りつぶされる。
 音も、風も、感覚も、すべてが遠のいていく。

 白猫を抱き上げる余裕すらないまま、
 私の意識は光の中へ落ちていった。
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