幼なじみ注意報
「……いいよ。とりあえず今日は全部授業出ても」
「ほ、ほんとーに?」
「まあ今日は珍しく朝から学校いるし、予定もないしね」
「あ……わかった。ありがとう」
「んじゃ、行こっか」
「わッ!?」
するっと手を握られて歩き出す。
「……なにこれ」
べつに手を繋がれなくても自分で歩けるんだけど……
「ん〜?遠いから急がないとチャイムに間に合わないじゃん」
「……一応聞くけど。これ、犬扱いじゃないよね?私の歩くスピード遅いから引っ張ってるんだよね?」
「おお〜よくわかったね飼い主がリードしとかないとダメでしょ?」
「……やっぱりわたしの感謝返して」
「ダメでーす。1度もらったものは返品不可でーす」
「けち」
「生意気な口だなぁ。言葉のトゲが丸くなるようにもう1回よぉーく揉み込んであげようか?」
「勘弁で」
「ざんねん」
少しも残念そうじゃないくせに何言ってんだか。
……でもこうしてふたりで手を繋ぐのは、子供の頃以来だっけ。
懐かしくなって、指先にちょっとだけ力を込める。尊にはバレない程度に。
ふぅん。骨張っててゴツゴツしてて、わたしの手とは違う。
……子供の頃とは全然違う。
「(なーんて、ちょっとだけドキドキしてる馬鹿なわたし)」
むかし、どこかへやったはずの感情が僅かにうごめいていて心地が悪い。