幼なじみ注意報

2時間目

あの後。



ざわめきが完全に収まる前に、わたしは鞄を掴んで立ち上がった。



あのままだと、誰かしらに連行されて根掘り葉掘り聞かれそうな想像は難くなかったし。




急ぎ過ぎて玲奈に挨拶するのも忘れて、さっさと帰った。






いや――正確には、
帰ったふりをして、行き先を変えた。




世良尊の家に。



頭の中はずっと同じことでぐるぐるしていていっぱいいっぱいだ。




お陰でインターホンを押す指先にも、力が入る。




「……絶対に一言言わないと気が済まない」




数秒の間の後。

ドアが開いたのを皮切りに、





「ちょっと尊!!」




我慢していた分、吠えるように声が跳ねた。





「なんであんなこと言ったの!!
あの後どれだけ大変だったかわかる!?」




尊は玄関先に立ったまま、眠そうな目でわたしを見る。






「あー……来るとは思った」




その一言が、さらに癇に障る。




「来るに決まってる!」





お邪魔します!と声高々に告げて、靴も揃えずに上がり込む。


尊はだるそうに後ろに続くと、上を指差して自分はリビングに消えていく。




「(部屋に先いって待ってろってことね、はいはいわかりました)」





勝手知ったる尊の家なので、言われた通り部屋に向かい、机の前の床に腰を下ろして後ろにあるベットの側面を背もたれにして待つことにした。








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