日向家の諸事情ですが。




「ってことで。楽しみにしてるよ、ユートーセー」



ぽんっと肩に手を置かれて、大きな玄関がさっそく開かれる。


しかし広すぎる屋敷内に入ってまず驚いたのは、外観とは正反対だったこと。


外の光は射しているはずが、どこか暗ったるいメインエントランスホール。

それはシャンデリアの他に点灯されていない照明が幾つもあるからだ。



「あのう……他の使用人さんたちは…」


「いない」


「えっ…?」


「今ここにいるのは俺たちだけだ」


「昔から世話してくれてた使用人が去年亡くなったんだよ。その人以降はもう、若いのを取っ替え引っ替えって感じ」



それが、3日も持たないメイドという伝説を作ってしまったのだと。


料理人だけは一応いて、食事はきちんと取っているらしい。

庭の手入れはお金を払えば業者がやってくれる。


ただ使用人(内側を世話する人間)は、今は居ないと。



「わっ、こんなところに隠し通路…!?」



まずは屋敷内の簡易的な案内から。


そこでたまたま触れた壁に、微かな反動があった。

なんと扉だったらしく、少しだけ覗いてみると階段が薄っすらと見える。



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