日向家の諸事情ですが。
「そこはだめ」
「あっ…」
バタン。
背後から伸びた楓くんの手が、扉を再び閉めてしまった。
どうしてダメなの?
この先には何があるの…?
メイドは思ったことを素直に聞いてはいけない。
人様の家にはその家のルールがある。
たとえ使用人とはいえ、土足で踏み込むなどご法度。
この教訓はポンコツ才能ナシと呼ばれ続けたわたしのなかにもちゃんと根付いていた。
「うわあっ、こんなの幽霊屋敷じゃん!!───あいてっ!!」
「言っておくが、俺たちは日暮家なんざ簡単に潰せるからな」
「ひっ…!す、すみません…!でも……」
廊下も暗いし、チラッと覗いた部屋はカーテンもボロボロ。
ご立派すぎる内装なのに、やっぱり照明もほとんど生きてない…。
見る限り汚れも目立っていて、下手したらゾンビが出てきてもおかしくないよコレ。