日向家の諸事情ですが。
「………、」
「…葉奈はああいう奴だ」
「ね、ハナちゃんは人間を根本的に信じてないからさ。…サナ?もしかして泣く?」
まるで「これが大きな秘密だよ」とでも言うみたいに。
メイドが3日持たず辞めていってしまう一番の理由はこれだよ、と。
奴という存在が鍵を握っている気がした。
としても、“孤独な自由人”。
さっき楓くんが言っていた言葉だけが、なぜか引っかかる。
「んもうっ!!叩き直してやるあの腐りきった根性…!!」
そんなわたしの奮い立ちに、顔色を伺っていた2人が目をパチクリとさせた。
「ぜんぶまとめてお掃除してやる!!シチューの美味しさ馬鹿にするとかっ、人生損してる!!」
「え、そこ?」
「…アホだなやっぱ」
「見てろ生意気ばか次男めっ!!貴様のプライドなんかケチョンケチョンにへし折って……、あっ……」
サナ!!と、たぶん長男と三男の声だった。
ぐらりと視界が歪んで足からチカラが抜けていったわたしの身体は、まさかバタンっと、無様に背中から床へと打ちつけるとは。