日向家の諸事情ですが。
「ワフっ!!」
「えっ、あっ、ちょっ…!!わたしの身分証…!!」
ガブッと。
門の柵の隙間からカードだけ奪ったモフモフ野郎。
「うそじゃん…っ、大事なカードなのに…!!それ食べ物じゃないの!!美味しくないよそんなの…!!……んっのやろうめ、」
不法侵入ではない、断じて。
だって何度呼びかけても出てこないし、わたしはちゃんと自己紹介したもんね。
そして人の個人情報を奪ったのはあのモフモフ野郎なのだ。
「こらー!返してわたしの身分証っ!!」
こうするしかなかったと、言い訳だけは持っている。
柵を乗り越えて敷地内にお邪魔します。
────と、そこでようやく。
《侵入者発見。侵入者発見。直ちにすべてのゲートを封鎖します》
警報として鳴り響いた全体アナウンス。
セキュリティは一応は作動していたらしい。
ガシャンガシャンガシャンと、わたしを追い込んでくるような柵が次から次に出現。
つまりここはまだ玄関に行くまでもく、庭というわけだ。