利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
 突然始まったふたりでの生活だけど、なかなか上手くやれていると思う。

 一緒に暮すようになって、雅樹さんは像以上に大変な仕事をしていることがわかった。
 通常の勤務なら帰宅時間を教えてくれるが、それができないときもある。

 先日は三日間も帰って来られなかったが、そのとき彼が私に明かせたのは『少し家を空ける』ということだけ。眉を下げたその表情に、家族にすら言えないのだとすぐにわかった。

 彼ら自衛隊員がどんな任務にあたっているのかを調べてみても、情報は多くない。

 見つけられたものは、平時の自衛官は基地で訓練をしたり、非常時に備えて待機したりというくらい。
 有事の際には危険な現場に派遣されることもあるだろうし、外国の軍隊と訓練を行うなんてニュースも耳にする。

 自衛官の妻が運営している個人のブログでは、『長く留守にする』と言って家を出た夫が帰宅したのは一年後だった、なんて愚痴も見つけた。
 定期的に連絡は取れていたようだが、どこでなにをしているのか、いつ帰れるのかはまったく知らされていなかったという。

 たしかに、そんなことが頻繁に続けば家族は不安になるだろう。あらかじめ雅樹さんからそういう事情を聞いていた私でも心配になるし、彼の不在を寂しいと感じる。

 せめて、帰ってこられた日は十分に労わってあげたい。そんな気持ちで、毎日を過ごすようになっていった。



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