利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「ありがとう。オシャレな服を着せてもらって、こんなに素敵なお店に連れて来てもらうなんて、なんだか夢みたい」

 少しのアルコールが、緊張をほぐしてくれる。

 わずかな恋愛経験の中でも、これほど豪勢に祝ってもらった覚えはない。
 目の前にいる彼が想いを通わせている人ではないのがなんとも言えないが、雅樹さんの私を気遣う気持ちは素直に嬉しい。

 あらかじめ雅樹さんが頼んでいたコース料理が運ばれてくる。食事を楽しみながら、私たちはとりとめもない話をしていた。

「今度は、ポトフを教えてもらうの」

 カフェを経営しているだけあって、従弟の奥さんを中心に料理上手な人がそろっている。先日のクリームシチューもそうだが、職場で教えてもらったレシピで何度か夕飯を作ってきた。そのどれも、雅樹さんは『美味しい』と絶賛してくれる。

「私はコンソメと塩で味を調えるくらいだったんだけど、いくつかハーブを使うと本格的な味になるみたいで」

 おまけに、使用する野菜は採れたてのものばかりだ。これで美味しくないわけがない。

「それは楽しみだ」

 食材はそのときの旬のものを使うから、同じポトフでも季節によって違った雰囲気になる。都心で暮らしていた頃はいつも同じ具材ばかりで、私には考えつかない発想だ。

 料理は結婚したのをきっかけに力を入れるようになり、たくさんの新しい発見にワクワクする。

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