利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「休みの日なのに、頼みごとをしちゃって悪いね。今日は天気がいいから、ついでに散歩でもしておいで」

「そうしようかな。じゃあ、行ってくるね」

 祖母に買い物を頼まれて、外へ出る。室内との気温差に、体がぶるっと震えた。
 四月も中旬になるが、都心とは違い北海道(ほっかいどう)の春の訪れは今頃からだという。空気はひんやりとしているし、手袋やマフラーはもうしばらく手放せそうにない。

 けれど、やわらかな日差しが気持ちいい。

「よし」

 歩いているうちに暖かくなるだろうと足を踏み出した。

 目的のお店に着き、頼まれた買い物を済ませる。
 荷物は多くはないし、急ぎではない。祖母が言っていたように、少し寄り道をすることにした。

 向かう先は、青葉(あおば)公園。千歳(ちとせ)川沿いにあるこの公園には様々なスポーツ施設があり、ジョギングコースも整備されている。ちょっとした散歩にも最適なスポットだ。

 一緒に働く仲間に公園の話を聞いて気になっていたものの、私が北海道に来た一カ月前はまだまだ雪がたくさん残っている状態だった。

 慣れない私は外出することに気が引けてしまい、仕事以外はどうしても居候先である祖母の家に引きこもりがちになっていた。

「んー気持ちいい」

 久しぶりの運動も自然に囲まれた環境も、沈みがちになる私の心を癒してくれる。

 公園に着き、ベンチに荷物を置く。それから、両手を組んでぐっと上に伸ばした。
 わずかな疲労感ですら心地いい。しばらくここで休憩しようと決めて、ベンチに座ってそっと目を閉じた。


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