利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
 けれど、雪乃と結婚することでそれらから解放されるのなら大助かりだ。
 俺にもメリットがあるのだとわかれば、彼女も契約結婚を受け入れやすくなるかもしれない。

 雪乃とは、友人のような関係を築けていると思う。少なからず、俺も人として彼女から慕われているのは伝わっている。

 俺にもしものことがあったときは、雪乃を悲しませるかもしれない。
 しかしそれも恋愛感情を抱いているわけではないのだから、長く立ち直れなくなることもないはず。きっと彼女なら、すぐに前を向いていけるだろう。

 こうして始まった結婚生活だが、思った以上に心地よい。

 元気に振る舞ってみせる雪乃だが、暗く沈みがちだったと彼女の祖母から密かに聞いている。
 契約とはいえ、夫婦になったのだ。だから、俺といるときくらいは無理しないでほしい。
 そんな気持ちを伝えるように、雪乃との時間を大切にしている。

 休日にはお互いの希望で、一緒に出掛ける。雪乃が気になっていたという映画を見たり、俺に付き合って本屋へ足を運んだり。
 大掛かりで特別な外出などしなくても、彼女とは馬が合うのか退屈ではない。

 これまでならトレーニングに費やしていたくらいの休日が、雪乃と暮らすようになって色づいていく。

 次第に昔のような明るい笑顔を見せるようになっていく雪乃。そこに高校生の頃の面影を見つけて懐かしく思う。

 だがその半面、どこか艶っぽさを纏う雰囲気にドキリとさせられるようになっていった。




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