利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「ただいま」

「あっ、おかえりなさい!」

 伝えてあった時刻よりかなり、帰宅がかなり遅くなってしまって申し訳ない。
 そんな俺を、雪乃は満面の笑みで迎え入れてくれた。

「お疲れさま。着替えたら、一緒に食べよう」

「待たせてすまない」

 悪いと思いつつ、待ってくれていることを嬉しいと感じてしまう。

「あと三十分しても帰って来なかったら、先に食べちゃうつもりだったんだよ」

 茶目っ気たっぷりに言うのは、俺への配慮なのだろう。そんなところが可愛らしい。

 ただ、彼女だって働いているのだ。無理に俺のペースに会わせる必要はないのだと、心配でつい小言のように言ってしまう。

 そんな俺に、雪乃は毎回同じように返してくる。

「雅樹さんは国のために体を張った仕事をしているのよ。疲れて帰ってきた自宅が、暗く寒い場所だなんて私が嫌なの。せめて、ほっとできようにしてあげたいと思って」

 その気遣いに、胸が温かくなる。

 雪乃がとことん尽くしてくれるのは、俺に恩義を感じているからだろう。それに高校時代の関係もあるから、兄のように慕ってくれているのかもしれない。

 この結婚は間違いではなかった。それはたしかだが、予想外に心地よくて手放しがたいものになっている。

 自分から契約結婚を持ち掛けておいて、いつまでも隣にいてくれとは言えないな。それは雪乃を困らせかねない。

 とにかく、一緒にいられる今を大切にしよう。
 そう決めていたが、友人からの出産報告を受けた雪乃の反応に、自分は間違っていると自覚させられた。

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