利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
 雅樹さんが家を空けて二週間が経った。
 ひとりきりの味気ない夕食を終えて、リビングのソファーに座ってぼんやりとする。目の前ではとりあえずつけておいたテレビ番組が流れているが、内容なんてちっとも頭に入ってこない。

 そろそろお風呂の用意をしようか考えていたところで、玄関からカチャリと開錠の音が聞こえてきた。
 ハッとして耳を澄ます。
「ただいま」

 雅樹さんだ!
 逸る気持ちを抑えきれず、ぱっと立ち上がって小走りで玄関に向かった。

 靴を脱いだ直後だった雅樹さんが、勢いよくやってきた私に驚いた顔をしている。

「お、おかえり、なさい」

 息を弾ませたまま、なんとか声を発する。
 それから、ケガはしていないか、疲れていないかと言葉を続けたいのに思うようにならない。

 変わりない彼の姿を目にした途端に胸がいっぱいで、涙が滲みそうになる。

「雪乃?」

 無意識に伸ばした私の手が、彼の腕を掴む。
 雅樹さんは不思議そうにしているものの、されるがままでいる。

「よかった……」

「どうかしたのか?」

 突然の行動に、彼を戸惑わせてしまう。

 我に返り、ようやく自分が意味不明な言動をしていたと気づく。

「ご、ごめんなさい」

 慌てて手を離す。
 一歩下がろうとしたそのとき。今度は逆に、雅樹さんに腕を掴まれていた。

「心配してくれていたんだな」

「あ、当たりまえじゃない」

「ありがとう」

 腕を引き、彼の胸もとに抱き寄せられてあたふたする。

「で、でも、雅樹さんにとっては迷惑じゃあ……」


「迷惑? どうしてそう思うんだ?」

 わずかに体を離した彼が、至近距離から顔を覗き込んでくる。
 近すぎて逃げ出したくなるが、背中に回された逞しい腕が許してくれそうにない。

「だって……」

 八つ当たりのような口調になりそうで、出かけた言葉をのみ込む。そんな私を、彼が優しい表情を見つめてきた。

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