利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
 それからというもの。彼の出勤時や帰宅時には、唇への口づけが追加されるようになった。

「雪乃」

 私を抱きしめ、髪に顔を埋めてくる。首筋に感じた彼の吐息に、体が小さく震えた。

 しばらくして満足したのか、体を起こした彼がさりげなく私に口づける。
 こんな甘い触れ合いに慣れるわけがなくて、相変わらず頬を熱くした。

「すまないが、数日帰れない」

「う、うん」

「返事はすぐにできないが、なにかあったら連絡を入れておいてほしい」

「わかった」

 温かな手が、頭に乗せられる。

「それじゃあ、留守を頼んだ」

「うん。気をつけてね」

 玄関を出ていくその大きな背中を見送る。
 扉が完全に閉まったところで、人差し指で唇に触れた。

 雅樹さんはどうして口づけをするのだろう。
 もしかして彼も私に好意を抱いてくれているのだろうかと、期待が膨らむ。

 でも好きだと言われたわけではないし、キス以上のことを求められるでもない。

 長く不在をしていた雅樹さんに、私があまりにも不安そうにしていたから慰めるためにキスをしたのかもしれない。

 彼の心が知りたい。それを聞きだす勇気がほしかった。


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