利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
 彼女の朗らかな声を聞いていると、無性に涙が溢れてくる。促されるまま、これまでの出来事をすべて打ち明けていた。

『私、なにもしていないのに』

『おばあちゃんは、雪乃(ゆきの)ちゃんを信じてるよ』

 相手は大病院の経営者一族だ。話を蒸し返したところで、いいように潰されてしまうだろう。それどころか、私には証拠もなにもない。逆にこちらの有責を主張されかねないと思うと、すっかりあきらめの気持ちで誰にも相談していなかった。

『そこにいて嫌なことを思い出しちゃうのなら、おばあちゃんのところへ来るかい?』

『北海道に?』

『人手はいつも足りないから仕事には困らないし、うちに住めばいいから』

 従兄が北海道で農業を営んでおり、祖母は収穫できたものをジャムや漬物などに加工して販売所に卸している。
 さらにとれたて野菜を使用したアットホームなレストランを親族で経営しており、そちらを手伝うこともあるのだという。

『……私、北海道に行きたい』

 一刻も早くこの場から逃げ出したい。その一心で、祖母の申し出に飛びついた。






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