利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「雅樹は最初から、結婚はしないと言っていたの。それを承知で交際をスタートしたのだけれど、彼を知るほどどんどん好きになってしまって。当然よね。雅樹は本当に素敵な人だから。でもその先の関係を望んだのは、私だけだった」
伏し目がちになった西崎さんの雰囲気は、一変して儚げだ。
「どうして、このタイミングで……」
過去はどうであれ、ふたりの関係は終わっているのだろう。それならどうして、『返して』となるのかがわからない。
「自衛官って、家を空けがちなお仕事でしょ?」
急に話題を変えた彼女を訝しみながら、小さくうなずく。
「詳しいことはなにも明かせないから、どこでなにをしているのか、家族であってもまったくわからない。たまに連絡はくれるけれど、時間が決められているし仕事に関してはやっぱりなにも教えてくれない。違う?」
それは、交際時の彼女の経験からくる発言なのか。
「そう、ですね」
どうしようもなく、情けない声音になる。
私の反応が彼女を満足させたようで、西崎さんの赤く塗られた唇が綺麗に弧を描いた。
「あなたはそれを、疑いもせずに信じているのね」
「え?」
どういう意味かと、探るように西崎さんを見つめる。
「あなた、純粋なのね」
決して褒めている雰囲気ではない。彼女が私に嘲りの視線を向けているのだけははっきりと感じられた。
「雅樹ったら、少し前から私に会いに来てるの」
まさかと、目を見開く。
「おそらく、あなたにはしばらく帰れないとか言ってるんじゃないかしら? 彼のお仕事なら、どうとでもごまかせてしまえるものね」
雅樹さんが?と、内心で首をひねる。彼がそんな不誠実なことをするとは、とても考えられない。
でもこれほど淀みなく語られると、西崎さんの言い分も筋が通っているように聞こえる。
私が考え込んでいる間に、彼女はさらに続けた。
伏し目がちになった西崎さんの雰囲気は、一変して儚げだ。
「どうして、このタイミングで……」
過去はどうであれ、ふたりの関係は終わっているのだろう。それならどうして、『返して』となるのかがわからない。
「自衛官って、家を空けがちなお仕事でしょ?」
急に話題を変えた彼女を訝しみながら、小さくうなずく。
「詳しいことはなにも明かせないから、どこでなにをしているのか、家族であってもまったくわからない。たまに連絡はくれるけれど、時間が決められているし仕事に関してはやっぱりなにも教えてくれない。違う?」
それは、交際時の彼女の経験からくる発言なのか。
「そう、ですね」
どうしようもなく、情けない声音になる。
私の反応が彼女を満足させたようで、西崎さんの赤く塗られた唇が綺麗に弧を描いた。
「あなたはそれを、疑いもせずに信じているのね」
「え?」
どういう意味かと、探るように西崎さんを見つめる。
「あなた、純粋なのね」
決して褒めている雰囲気ではない。彼女が私に嘲りの視線を向けているのだけははっきりと感じられた。
「雅樹ったら、少し前から私に会いに来てるの」
まさかと、目を見開く。
「おそらく、あなたにはしばらく帰れないとか言ってるんじゃないかしら? 彼のお仕事なら、どうとでもごまかせてしまえるものね」
雅樹さんが?と、内心で首をひねる。彼がそんな不誠実なことをするとは、とても考えられない。
でもこれほど淀みなく語られると、西崎さんの言い分も筋が通っているように聞こえる。
私が考え込んでいる間に、彼女はさらに続けた。