利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「雪乃」

 甘さを増した声音に、ドキッと鼓動が大きく跳ねる。

「愛してるんだ」

 真剣な表情で見つめられ、視線を逸らせない。緊張でどうにかなりそうだ。

 でも私もきちんと伝えると決めていたのだからと、自身を鼓舞する。

「わ、私も、雅樹さんを愛しています」

 想いを告げた途端、雅樹さんが蕩けるような笑みを浮かべる。

「雪乃」

 彼の腕に力がこもる。私からも想いを返したくて、そろりと腕を彼の背中に回した。

「俺と、本当の夫婦になってほしい。今すぐ雪乃が自分のものだと、実感したいんだ」

 彼がなにを求めているのかがわかり、全身が熱くなる。

 恥ずかしいけれど、私も同じ気持ちだ。
 瞼を伏せて小さくうなずくと、すぐさま口づけられる。驚いたけれど、抵抗せずに受け入れた。

 雅樹さんの熱い舌が、口内にそろりと差し込まれる。
 わずかに肩を揺らすと、大丈夫だと宥めるように大きな手が背中をなでてくれた。

 私を誘うように、舌を擦り合わせてくる。その瞬間に、背中をゾクゾクとした感覚が走り抜けた。全身から力がぬけていき、たまらず彼にしがみつく。

「はあ……」

 口内を余すことなく暴き、ようやく解放される。夢中になりすぎて、呼吸はすっかり乱れてしまった。

 うつむいて、息を整える。恥ずかしすぎて顔をうつむけた。

「顔を見せて」

 耳もとでささやかれて、あからさまに肩を揺らす。

「ほら」

 羞恥心をこらえながら、上目遣いに彼を見る。視線が合った途端に、雅樹さんは愛しくてたまらないというように目を細めた。

「移動しよう」

 額に口づけて、雅樹さんが立ち上がる。それから軽々と私を横抱きにした。

 慌てて彼の首もとに腕を絡めたが、思った以上に距離が近くて慌ててしまう。その反応を、雅樹さんがくすりと笑った。
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