利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「でもね、子どもも生まれてそれはもう大忙しで。お風呂に入らせるのに、家中で追いかけっこすることになるのよ。それが毎晩続けば、夫の心配をしている暇もないくらい」

 さらに彼女は、週に数日仕事もしているという。

「子どもがまだいないのなら、仕事とかなにか打ち込める趣味とかを見つけて気を紛らわすのが一番よ」

「たしかに、そうですね」

 ここのところ、カウンセラーの勉強も手につかなかった。雅樹さんの健康維持のためにも、料理やお菓子作りもメニューの幅を広げたい。

「やりたいことはいっぱいあるので、いろいろと挑戦してみます!」

「いいね。不安でどうしようもないときは、うちにお茶しに来てもいいのよ。話くらい聞くから。やんちゃ坊主もいるけれどね」

 からからと笑う彼女と話していると、私も朗らか気持ちになる。

「これから、よろしくお願いします」

「ええ、こちらこそ」

 官舎の住民との関係づくりも順調で、引っ越して一週間も経った頃には会えば立ち話をする人も複数できた。
 その中で私が野菜を使ったお菓子を作る話をしたところで、溝口さんをはじめとしてお子さんのいる女性が興味津々になっている。

 私が作ったものを試しに振る舞うと、『ほとんど野菜を感じなかったし、子どもも気づかなさそう』『この組み合わせ、意外と合う!』と評判もいい。レシピを教えると、早速作ってみると言ってくれた。

 溝口さんとは、ふたりの休みが合う日にうちで一緒にお菓子作りをする約束もしている。
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