バイバイを書いた夜、君が来た ――あの夜、君の声が僕を繋ぎ止めた
第2話 声が残る夜
通話を切ったあとも、しばらくイヤホンを外せなかった。
画面は暗くなっているのに、耳の奥だけが騒がしい。
さっきまで、確かに誰かの声がそこにあった。
息遣いも、言葉の間も、はっきり覚えているのに、もう触れられない距離に戻ってしまった気がして、胸の奥が落ち着かなかった。
イヤホンのコードを指先でなぞる。
外してしまえば、全部が夢だったみたいに消えてしまいそうで、怖かった。
「……夢じゃ、ないよね」
自分に言い聞かせるように呟く。
声に出した瞬間、少しだけ現実味が増した気がした。
通知を何度も見返して、履歴を確認して、それでもまだ信じきれない。
通話履歴に残った名前を見て、やっと小さく息を吐く。
確かに、あった。
消えていない。
声。
あの人の声は、思っていたよりずっと低くて、落ち着いていて。
配信で聞く誰かの声とは違って、無駄な装飾がなくて、でも冷たくもなかった。
派手でも、甘くもないのに、不思議と安心する響きだった。
言葉を選ぶたびに、少し間が空くところが、妙に印象に残っている。
それが、胸の奥に残り続けている。
布団に潜り込んでも眠れなかった。
目を閉じると、暗闇の中で声だけが浮かび上がる。
『今行かないと、いなくなりそうな気がして』
あの言葉を思い出すたび、胸がきゅっと縮む。
そんなふうに思われた覚えは、今まで一度もなかった。
そんなこと、言われたことがなかった。
誰かに必要とされている、なんて。
それも、何も見せていない相手から。
画面は暗くなっているのに、耳の奥だけが騒がしい。
さっきまで、確かに誰かの声がそこにあった。
息遣いも、言葉の間も、はっきり覚えているのに、もう触れられない距離に戻ってしまった気がして、胸の奥が落ち着かなかった。
イヤホンのコードを指先でなぞる。
外してしまえば、全部が夢だったみたいに消えてしまいそうで、怖かった。
「……夢じゃ、ないよね」
自分に言い聞かせるように呟く。
声に出した瞬間、少しだけ現実味が増した気がした。
通知を何度も見返して、履歴を確認して、それでもまだ信じきれない。
通話履歴に残った名前を見て、やっと小さく息を吐く。
確かに、あった。
消えていない。
声。
あの人の声は、思っていたよりずっと低くて、落ち着いていて。
配信で聞く誰かの声とは違って、無駄な装飾がなくて、でも冷たくもなかった。
派手でも、甘くもないのに、不思議と安心する響きだった。
言葉を選ぶたびに、少し間が空くところが、妙に印象に残っている。
それが、胸の奥に残り続けている。
布団に潜り込んでも眠れなかった。
目を閉じると、暗闇の中で声だけが浮かび上がる。
『今行かないと、いなくなりそうな気がして』
あの言葉を思い出すたび、胸がきゅっと縮む。
そんなふうに思われた覚えは、今まで一度もなかった。
そんなこと、言われたことがなかった。
誰かに必要とされている、なんて。
それも、何も見せていない相手から。