雪の音色に包まれて
氷月(ひづき)
「ねぇ、雪音(ゆきね)さんはいくつなの?」

幼い僕は「年齢を尋ねる」というデリカシーのないことをしてしまった。

それでも雪音(ゆきね)さんは「子どもの言うことだから」と、寛大に答えてくれた。

雪音(ゆきね)
『私はねー、0歳1ヶ月!100歳かな?』

僕は20〜22歳と予想していたので、肩すかしをくらった。

9歳の子どもから見れば、20歳は大人のお姉さんだ。

氷月(ひづき)
「なにそれ?0歳って僕より年下?」

雪音(ゆきね)
『うふふ、そうね。』

氷月(ひづき)
「100歳って何?」

雪音(ゆきね)
『大人でしょ?』

氷月(ひづき)
「僕も100歳になったら、雪音(ゆきね)さんみたいな大人になれる?」

雪音(ゆきね)
『ええ、きっと。』



僕はまたもはぐらかされてしまった。

雪音(ゆきね)さんがふざけていたとは思わないが、その場は軽い冗談で終わった。

本当は、雪音(ゆきね)さんは0歳でも100歳以上でもあった。

僕がそのことに気づくのは、ずいぶん後になってからだった。
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