私のフルート、恋の音しか出なくなりました。
「あ、門が……」


視界の先で、無情にも校門が閉じようとしていた。

シルバーの重厚な門扉が、スルスルと無慈悲にその隙間を狭めていく。

あー、もう!最悪。

このままじゃ本当に間に合わないよ…

このケースがあるから、体は重いし、思うようにスピードも出ない。

もう逃げ出したい…

遅刻なんてした日には、あの激怖先生にこってり絞られるのは目に見えてるよ…。

どんなお叱りを受けるか想像しただけで震えちゃう。

ゴールはあとちょっとなのに…

私の鈍足なりに精一杯頑張ってるんだから…神様、お願い、門を閉めないで。

あと数歩分だけ時間を止めて!

今朝の占いで、私の星座は堂々の1位だったんだよ!?

『今日は何をやってもうまくいく最高の一日』

なんて、あのキャスターは満面の笑みで言っていたじゃん…

時間くらい止めてもいいんじゃない?

こんなのってナシだよ…

でも…行ける、あと少し!






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