蝶よ花よ、あこがれに恋して
ピンポン……と、軽快なチャイムの音が柔らかく届いた。まぶたを持ち上げると、ぼんやりとした思考回路でうーんと思い切り伸びをした。昨夜の寝不足が祟ったのか、どうやら眠っていたらしい。
だって桜庭さんと一緒だと、全然眠れないんだもん……。
抱き合って、触れるだけのキスをして、見つめ合って、また触れて……。昨夜のことを思い出して勝手ににやにやと頬を緩ませていれば、催促するようにもう一度チャイムが鳴った。まぶたをごしごしと擦って立ち上がる。
イブかなあ〜……。
「はあい、おまたせえ」
眠る前に連絡した相手を脳裏に浮かべて気のない挨拶とともに玄関のドアを開けると「待ってないよ」と、優しい優しい声が落っこちた。桜庭さんだ。
──……桜庭さんだ?
「さ、桜庭さん!?!?えっ、歓迎会は?」
「途中で抜けてきた」
「え……」
「(抜けていいもの、なの?)」
よく分からないまま目をぱちくりとさせていれば「入っていい?」と、桜庭さんは微笑むから「はい、どうぞ」と、なんの躊躇いもなく桜庭さん専用のスリッパを用意した。
「心鈴ちゃん、寝てた?」
「あ、はい。寝てました。もしかして、連絡入れてくれました?」
「うん。割と鬼メッセでビビるかも」
「鬼……?そんなの、ご褒美でしかないです!」
話しながら、ふと、足を止めた。