蝶よ花よ、あこがれに恋して
はじめて恋人が出来たのは短大の時だった。別の大学に通う、年上の人だった。おしゃべりも上手じゃないし、すぐ顔が赤くなる私のことを可愛い可愛いと言ってくれて、お友達に紹介してくれて、飲み会にもたくさん誘ってくれて、その度に周りに可愛い彼女だって褒められて、恥ずかしかったけれど嬉しかった。
彼は同性に限らず友達が多い人で、だからこそ自由を望む人で、いつもどこか信頼性に欠ける人で、それらは私を不自由にさせる要因になった。
用事があると断られたある日、知らない人のSNSに写り込む彼の姿を見て胸騒ぎがした。それを言えば、すごく嫌な顔をされたから、もう、言っちゃダメだと思った。
異性の友人と喋る姿を見て、彼の心が他の人に移ったらどうしようと悩んだ。たくさん尽くした。あの時、私の脳は何かの毒に冒されていたと思う。
友達に飲み会に誘われた。偶然、駅で彼と彼のお友達を見かけて、挨拶をしようかなって悩んでいた時だった。決して立ち聞きするつもりは無かった。
『今別れ話持ち込んだら泣くかヒステリー起こすかだから、自然消滅狙うしかないよね』
『うわあ……どんまい。あの子、顔は可愛いのにね。ほら、胸も』
『まあ、そこはね。やっぱ別れるの、惜しいかな』
『そりゃあそうだろ。でも、重いのと付き合うはキツいな』
『セフレくらいでちょうど良かったかも』
『ふは。元カノがセフレ化したら俺も混ぜて』
大好きな人が私に抱く感情は、私と同じベクトルじゃないって気づいた。