蝶よ花よ、あこがれに恋して
駄目ですよって、ちゃんとサッカー第一じゃなきゃプロとして失格ですよ!って。
咎める強さがないと、サポーターたちに叱られるだろう。
「(嬉しい……)」
……なのに、嬉しくてたまらない。喜びを我慢できない私がいる。
今度はこちらからぎゅうっと抱きしめて、桜庭さんを見上げる。
「でも……桜庭さんは我慢、してませんか?」
「我慢?」
本当に心当たりがないのか、桜庭さんは首を傾げた。
じいっと見つめ合う。長いまつ毛がふるえる。透明感のある瞳が、私を映し出している。我慢、欲望、我慢。
頬が上気するのを自覚した。
ああ、触れたい。
我慢を超えようと踏み込んだのは、私。
「桜庭さんに、触れたいのは、私だけ……ですか」
消えそうな声を吐き出す。
それでも、遂に言ってしまった……!
ほんの少しの羞恥が私を後悔させた。
逸る心臓は私を囃し立てる。透明感のある瞳が揺れるのを見た。私がまばたきしたのと、彼の唇が私のそれを塞いだのはどちらが早かっただろう。