蝶よ花よ、あこがれに恋して
「ん、……んぅ……」
啄むような優しいキスなのに、ぬらりと唇の表面、その裏側を舌でやさしく舐められ、腰がぞわぞわと粟立つ。遠慮なく私の中へ割り込む舌に躊躇いは無く、舌先が絡み取られた。息があがる。たった数秒のキスだけで。
けれども、その吐息さえ唇を塞がれてしまえば逃げる場所は彼の咥内しかなくて、微かな喘ぎ声と共は桜庭さんが食べてしまう。
「……ふ、ぁ……」
彼の人差し指が耳環をなぞった。くすぐるようなタッチで私の足は力が抜けてゆく。桜庭さんは私の頬、顎、そして首筋に軽くキスをした。移ろぐ熱さえも私の神経は敏感に感じ取ってしまい、びくびくと震えてしまう。
「(そのさわり方、へん……っ)」
耳を擽られているだけなのに、首を舐められているだけなのに、なんで……。
涙の膜で視界が揺れる。桜庭さんは薄らと微笑んだ。その目に穏やかさは無くて。
「…………やっぱ今夜、俺ん家でいい」
私はどうしようもなく、煽られてしまう。
「え」
「心鈴ちゃんのこと、甘やかしたい」
我慢しなくていいなら、と。私の耳元で囁かれたその声は、色気を孕んでいた。