蝶よ花よ、あこがれに恋して
たまに水を与えられた。喉を潤すと、また快楽が待っていた。
あえいで、喉がからからに乾いて、泣いて、聞いたこともなければどうやって鳴るのか想像すら出来ない、はしたない水の音が下半身から聞こえていた。
おかしい、やだ、こわい。やだやだと泣きながら、うわ言のように桜庭さん、桜庭さんと、助けを求めるみたいに彼を呼んでいた。それを良しとしなかったのは桜庭さんだ。
「ねえ、俺の名前、わかる?」
「さ、くらばさ……」
「名前。下の名前」
彼は、私の身体のやわらかい部分に指を沈めながら指示を出すから、必死でこたえた。
「し、ゆう、さん……」
「そう。呼べるじゃん」
「し、ゆ、さ……志邑さ……っ」
「上手だよ、心鈴」
甘く低い声が私を呼ぶと、きゅんと胸がときめいて、思考回路は白で塗りつぶされた。
なんで……?と、驚いた。だって、いつもは全然気持ちよくならないし、私は不感症だって思っていたのだから。
信じられなくて桜庭さんを見上げると、彼は避妊具を口で破っていたから、恥ずかしくて目を逸らした。
「ここまで真っ赤になってんの、ほんと可愛いね、心鈴」
「……っ、」
「キツかったら言って。ゆっくり動くから」
キスをしながらゆるゆるとひとつになって、労わるように抱きしめられて、私に、自身をおしえるようにじっと繋がって。