蝶よ花よ、あこがれに恋して
私の心臓もまた、桜庭さんを見つけたあの日に、桜庭さんの一挙一動で動きを変える、そんな作りに変わったのだ。
桜庭さんの首に甘ったるく腕を回して、顔を持ち上げてちゅっとくちびるに触れた。
「……好きです。わたし、志邑さんが大好きです」
「……ん、俺も」
「いっぱい、好きって言って欲しい……」
強請るように見上げた。彼の表情が切なげに歪む。あ、また失敗した……?と、不安に駆られて「ごめんなさい」と泣きそうになれば「ちがう」とすぐに彼は私に口付けた。
「好きだよ」
「……っ」
「好きすぎて、どうかなりそう」
思考回路が白ける寸前、彼の余裕のない笑みを垣間見た。
快楽の波が寄せて、引いて、また押し寄せて。ひときわ大きな波が私を塗りつぶしたのは、桜庭さんとほぼ同時だったと思う。
それから、我に返った私は悲惨だった。
「(は、裸だ……!わ、私も裸だ……!!)」
桜庭さんのベッドの上で身動きが取れないほどの力で抱きしめられ、当たり前の事実に恥ずかしさが込み上げた。
実際は手加減してくれていたのかもしれない。だって呼吸を乱していたのは私だけで、桜庭さんは、余裕そのものだったのだから。